トップアスリートと考えるSDGs「スポーツ界からできること。」
持続可能な開発目標である「SDGs」が現代社会における不可欠なテーマとなるなか、プロのアスリートたちはこの問題にいかに向き合っているのでしょうか。
とりわけ様々な道具を使うスポーツでは、17の目標のひとつである「つくる責任 つかう責任」が身近なテーマとして関わっています。
このインタビューシリーズでは第一線で活躍するトップアスリートたちに、自身の「SDGs」に対する価値観を語っていただきます。

スパイクやボールをどうやって再利用して
いくかは、考えていかなければいけない
「食べ物は必要以上に買わないですし、服もほとんど買いません」
「SDGs」に対して、どういったイメージや知識を持っていますか?
「環境を良くしようとか、再生利用をしようとか、そういうことがまずはイメージされますね。ゴミの問題だったり、気候の問題だったり、一部の人たちだけではなく、地球規模で考えることが求められる時代になったのかなと思います。僕ら、スポーツ選手だったり、有名人が率先してやるものではなく、すべての人が意識する必要があることだと思います」
普段の生活で意識することはありますか?
「極力ゴミを出さないことですね。食べ物は必要以上に買わないですし、服もほとんど買いません。リサイクルの部分で言うと、分別は当たり前の話で、レジ袋ももらわないようにしています。1枚の袋をもらわないことがどれだけ世の中のためになっているのかは分からないですけど、一人ひとりの意識が変わることの方が大事なのかなと」
なんでも、お子さんの洋服を寄付されているそうで。
「子どもの服やおもちゃは、施設に送っています。子どもはすぐに大きくなるので、同じ服を着られる時間は短いですし、おもちゃにしてもすぐに使えなくなってしまいますから。ブランコだったり、滑り台だったり、まだまだ状態がいいものなので、捨てるのではなく、使ってくれる施設に送るようにしています」
ご自身の洋服はどうされていますか?
「着なくなったものは、誰かにあげています。売ることはないです。最近は買わなくなったとはいえ、それでももう着なくなった物もたくさんありますから。本当は再利用してくれるところに送りたいんですが、子どもの物と比べると受け入れてくれるところが少ないので、そういう施設があれば送りたいですね」
環境問題やリサイクルを意識し始めたきっかけはありますか?
「ひとつ言えるのは、東日本大震災ですね。あの時に家が停電になったんですが、電気だったり、あらゆるものには限りがあるんだということを実感しました。北海道に住んでいた時も、停電を経験したことがあるんですが、節電の意識は高まりましたし、いろんなものを無駄にしてはいけないと考えるようになりました」
「フロンターレ時代には、選手みんなで多摩川の周りを掃除しました」
今やいろんな分野や業界でSDGsの取り組みが行われていますが、サッカー界ではどんなことが行われているのでしょうか。
「SDGsという言葉が浸透する前から、クラブごとにいろんなことをやっていると思います。僕がフロンターレにいた時は、選手みんなで多摩川の周りを掃除しましたね。フロンターレはそういうことに積極的だったので、ピッチ外での活動は結構やっていましたよ」
リサイクルの観点では、いかがでしょう? 例えば履かなくなったスパイクはどうされているんですか。
「サッカーの場合、消耗品と言えば、スパイクとボールになると思います。それをどうやって再利用していけるかは、考えていかなければいけないことだと思います。スパイクに関して言えば、僕の場合はサインを入れて、人にプレゼントしますね。選手会でもそういう活動をやっていると思います。ただ、破れたり、壊れてしまったものはさすがに人にあげられないので、それをリサイクルできるような仕組みがあればいいなとは思います」
壊れたスパイクは、捨てるしかないのでしょうか?
「そうだと思います。ただ、僕の場合は壊れないんですよ。壊れないけど、新しいモデルができたら、そっちに履き替えていくんですね。だからスパイクの数はどんどん増えていくので、人にあげるようにしています」
年間どれくらいの数を履かれるのですか。
「1年に2、3回モデルが変わりますね。僕の場合はモデルごとに試合用と練習用の2足しか使わないので、1シーズンでだいたい4から6足くらいですね。ただ選手によっては新しいスパイクじゃないとダメな人もいるので、その場合はかなりの数になるでしょうね」
その分、資源が消費されてしまうことになりますね。
「僕はナイキと契約しているんですが、最近ではサステナブルな靴も作られるようになっています。現状はスニーカーしかないですけど、サステナブルなスパイクができてくればいいですね。スパイクは革なので、なかなか難しいところもありますけど」
ボールについてはいかがでしょうか。劣化したら、やはり捨ててしまう?
「基本的にはクラブが管理しているので、使われなくなったボールをどうしているかは、ちょっと分かりませんが、おそらく下の世代のチームに回っているとは思います。使えるものは、最後まで使うという意識はあると思うので、さすがにすぐに捨てたりするようなクラブはないと思いますよ」
稲本潤一 プロフィール
1979年9月18日生まれ。鹿児島出身。181cm
・77kg。ガンバ大阪のアカデミーで育ち、1997年に当時史上最年少でJ1デビュー。2001年にはイングランドの名門アーセナルに移籍し、その後はイングランド、トルコ、ドイツ、フランスと欧州各国のクラブでプレー。2010年に帰国し、川崎フロンターレ、北海道コンサドーレ、SC相模原に在籍した。日本代表としても活躍し、99年のワールドユースでは準優勝を成し遂げ、2000年にはシドニー五輪にも出場。ワールドカップには日韓、ドイツ、南アフリカと三度出場し、特に日韓大会ではベルギー戦で逆転ゴール、ロシア戦では決勝点を挙げ、日本中を熱狂の渦に巻き込んだ。豊富な運動量と献身性に加え、中盤から独力で持ち上がりゴールを陥れる圧巻のプレーを代名詞とする日本サッカー界のレジェンドは、今季より関東リーグ1部の南葛SCに所属する。
山一商事は、「循環型社会の構築」を企業理念に掲げています。創業以来、約40年にわたり、産業廃棄物(普通・特管)収集運搬、中間処理、最終処分業、総合解体工事一式、スクラップ買取等をコアの事業として、東京本社、埼玉県(さいたま市、川越市、越谷市)、千葉県(成田市)等を中心に展開してきています。これらの事業経験、知見、資産の活用と各ステーククホルダーやパートナーとの連携を通じ、美しい環境を守り、次世代へ受け継ぐために、廃棄物そのものの量を減らし、リサイクルを徹底するとともに天然資源の消費を抑制し、
環境負荷をできる限り低減する循環型社会の構築に寄与していくことこそ、山一商事の使命です。事業展開そのものが、SDGs(Sustainable Development
Goals:持続可能な開発目標)の取り組みと捉え、サステナブルな循環型社会の実現に向け、グループ事業とともに様々な展開を継続するなか、今後も地域や学校、省庁、企業等さまざまなステークホルダーとの連携を強化していきます。