産業廃棄物はどう処理する?処分の流れを解説
事業に伴う廃棄物のうち、法律で定められたものを産業廃棄物と呼びます。産業廃棄物は排出事業者の責任で適正に処理する義務があり、適正に処理しなかった場合には法律に基づいて罰則が科される可能性があります。
今回の記事では、産業廃棄物の処理の流れを紹介し、処理と委託する場合のルールや委託の契約書などについて解説していきます。ぜひこの記事を参考にして、産業廃棄物の適正処理につなげていきましょう。
産業廃棄物の処理の流れとは
産業廃棄物の処理は、排出、収集運搬、中間処理、最終処分の順に行なわれます。
まず、排出事業者によって排出された産業廃棄物は、収集・運搬業者または排出事業者自らによって中間処理業者に運搬されます。
中間処理業者に預けられた産業廃棄物は、脱水や焼却・中和などの工程を経て、再生できるものは再生処理が行なわれます。一方、中間処理業者でも処分できなかった産業廃棄物は、埋立処分場などに送られ最終処分の対象となります。
排出から最終処分までの一連の流れのうち、どこか一つでも法律で定められた基準に従っていなければ、産業廃棄物は適切に処理できません。処理の過程で各事業者が責任をもって処理を行なう必要があるのです。
※詳しくは「産業廃棄物とは?基礎知識をわかりやすく解説」のお役立ち記事もご覧ください。
続いて、産業廃棄物の排出事業者と収集・運搬業者、処分業者それぞれの役割を詳しく見ていきましょう。
排出事業者の役割
排出事業者の役割は、排出した産業廃棄物を正しく分別・保管し、適正に処理することです。収集・運搬業者へ産業廃棄物を渡せばそこで排出事業者の役割が終わるわけではありません。産業廃棄物が中間処理を経て、再生処理や最終処分されるまで、しっかりと確認しておく必要があります。
排出事業者の役割を果たすためには、収集・運搬業者や処分業者へ業務を委託する際、委託先の状況を把握して適正に処分されるかを確認しなければなりません。
委託基準については、次の見出しにも詳しく解説していますので、委託基準をふまえて適正な事業者へ委託するようにしましょう。
収集・運搬業者の役割
収集・運搬業者は、排出事業者の排出した産業廃棄物を、性状を変えることなく、処理場まで運びます。
産業廃棄物の収集および運搬は、都道府県から産業廃棄物収集運搬業許可を得た事業者しか行なえません。収集・運搬業務を都道府県をまたいで行なう場合は、収集・運搬するすべての都道府県での許可が必要になります。
収集・運搬の際は、産業廃棄物を流出・飛散させないよう適切に対応する必要があります。過去には運搬時に産業廃棄物が落下し、交通に大きな影響を与えた事故も発生しています。
このような被害を防ぐために、収集・運搬業者には、事故を未然に防ぐ対策も求められているのです。
※山一商事では、収集・運搬時の事故防止対策を徹底しています。
処分業者の役割
処分業者の役割は収集・運搬された産業廃棄物を適正に処理することにあります。処理には中間処理・リサイクル処理・最終処分の3種類があり、それぞれ処理の目的が異なります。
- 中間処理:廃棄物を検査・選別し、焼却・粉砕・溶解・脱水などの処理を行ないます。
- リサイクル処理:廃棄物を加工して原材料化し、再利用します。
- 最終処分:内陸や海面に設置した施設で埋立を行います。
委託するときのルール:委託基準
産業廃棄物を排出する排出事業者として、まず注意すべきポイントが処分を委託する際の「委託基準」です。不適切な事業所へ委託してしまうと、処理が適切に行なわれず、排出事業者の責任が問われます。産業廃棄物の収集・運搬および処理を委託する際は、委託基準に則って委託先を選択しましょう。
- 産業廃棄物処理委託契約書の締結:委託する際は、必ず委託契約書を締結します。委託契約書には数量、料金等の詳細、収集運搬、処分など必要事項を記載しましょう。
- マニフェストの交付:産業廃棄物の処分状況を確認できるマニフェストを交付し、適正に処理が行なわれているかを確認しましょう。
- 許可を得た業者に委託する:産業廃棄物の収集・運搬および処理には許可が必要です。許可を得ている事業所かどうかを必ず確認し、場合によっては処理状況を現地視察するなどして、信用がおける業者かどうか判断するようにしましょう。
参照:東京都環境局「処理を委託する場合」、 ECO情報ポータル「産業廃棄物の適正処理について」
産業廃棄物処理委託契約書とは
排出業者は処理を行う処理業者と産業廃棄物の処理委託について、それぞれ契約を結びます。処理委託契約の締結時には次の5つの原則を守るようにしましょう。
- 二者間の契約にする
- 書面で契約する
- 産業廃棄物の処理及び清掃に関する法律に定められた必要項目を盛り込む
- 契約内容に該当する許可証等の写しを添付する
- 契約書は5年間保存する
参照:産廃情報ネット「産業廃棄物を排出する事業者の方に」
マニフェストとは
産業廃棄物を適正に処理するためのルールの一つに、マニフェストの交付があります。
マニフェストとは、産業廃棄物管理票のことで、排出事業者が交付したマニフェストを処理段階で各事業所が管理することで、産業廃棄物が適正に処理されているかを確認することができます。
排出事業者は、廃棄物の引き渡しの際、マニフェストを交付して産業廃棄物の移動・処理状況を管理する義務があります。マニフェストに業者の名称や廃棄物の種類、処分方法、数量等を記載し、必ず収集・運搬または処理業者へ交付しましょう。
また、排出時に得られるマニフェストのA票と、処理の各工程で得られるB2票、D票、E票は、5年間保存しなければなりません。
参照:ECO情報ポータル「産業廃棄物の適正処理について」
まとめ
排出事業者から排出された産業廃棄物は、収集・運搬業者や処理業者に適切に委託して、正しく処分する必要があります。
重要なポイントは、産業廃棄物の適正処理は排出事業者の義務である、という点です。適正に処理されるよう、委託先の選定や委託契約の締結・マニフェストの交付などを行ないましょう。
産業廃棄物の収集・運搬や処分の委託についてお困り事があれば、ぜひ弊社営業部までお問い合わせください。