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トップアスリートと考えるSDGs -スポーツ界からできること-

持続可能な開発目標である「SDGs」が現代社会における不可欠なテーマとなるなか、プロのアスリートたちはこの問題にいかに向き合っているのでしょうか。とりわけ様々な道具を使うスポーツでは、17の目標のひとつである「つくる責任 つかう責任」が身近なテーマとして関わっています。このインタビューシリーズでは第一線で活躍するトップアスリートたちに、自身の「SDGs」に対する価値観を語っていただきます。


第19回 安藤誓哉選手 前編

(プロバスケットボール選手/島根スサノオマジック所属)

手当たり次第買うのではなく、
何を選ぶのかが重要。


着なくなった服は捨てないで、支援団体に送っています

「SDGs」という言葉を聞いて、何を思い浮かべますか。

「僕は洋服ですかね。今はサステナブルな素材のものも増えていて、そういうものにも興味がありますけど、僕が意識しているのは洋服を捨てないこと。着なくなった服は捨てないで、支援団体に送っています」

その行動のきっかけは?

「そういうものがあるよってことを友達から聞いて、僕もやってみようかなと。それまでは普通に捨てていたんですけど、まだ着られるのにもったいないなという想いもありました。だから、捨てるよりも、そういう団体に送って、誰かが着てくれればいい。本当に着られなくなる最後の最後まで需要があるんだったら、そこまで回ってほしいなと思いますね」

田中大貴選手が昨シーズンまで所属していたアルバルク東京では、チームとして服のリサイクルの活動を行っていたそうですが、安藤選手が在籍する島根スサノオマジックでも、チームとして何かやっていることはあるんですか。

「チームとしての活動は特にないですけど、大貴さんの記事を読んだ時に、一度履いたバッシュは性格的に他の人にあげられないって言っていたじゃないですか。僕はできるだけ、あげるようにしています。今はアディダスにサポートしていただいて、新しいバッシュを提供してもらっているんですけど、アディダスからすれば新しいモデルを履いてほしいでしょうし、僕としてもいろんなシューズを履きたい気持ちもあります。でも、まだ履けるものもあるわけで、それをどうしようと考えると、やっぱりプレゼントするのがいいのかなって。さすがにボロボロになったら捨てますけど、まだ履けるものであれば、欲しいという人にあげて、最後まで活用してほしいなという想いはあります」

そういう選手は多いんですか?

「あげている人は多いと思いますよ。NBAでもバッシュをあげるのはひとつの文化になっていますし。NBAでは慈善活動をしている選手も多いですよね。規模は違いますけど、僕も自分なりにできることをしていきたいです」


普段生活しているなかで、正解は何だろうって思うことがあります

SDGsの17個のテーマの中で、なにか興味があるものはありますか?

「難しいなあ。いろいろありますよね。貧困をなくそうとか、ジェンダー平等の実現とか。でも、やっぱり環境に関するものですかね」

環境問題を考えることはあるんですか?

「「深く考えたことは、正直言ってないです。でも、普段生活しているなかで、正解は何だろうって、思うことはあります。これは合っているか分からないですけど、例えばエアコンはつけっぱなしにしていたほうが電力の消費を抑えられるという記事を見て、実際に試してみたり。車とかも、電気自動車よりもハイブリットのほうがいいという話も聞きますし。身近なところでも、何が正しくて、何が間違っているのかということはいろいろありますし、そういうことは気になるので、調べたりはしています」

身近なところで言うと、フードロスの問題もありますよね。

「僕は外食が多いので、食材をあまり買うことはないんですが、基本的には冷蔵庫の中にあまり物を残さないようにはしています。食べない物は買わないですし、余分にストックすることもしていません。服もそうで、若い頃はたくさん買っていましたけど、今は余計な物は買わなくなりました。それよりも長く着られることを考えています。素材だったり、デザインなどをしっかりと吟味して、これなら長く着られるなという決断をしてから、買うようにしています」

「つかう責任」ですね。

「前にYouTubeで見たんですけど、生産者たちは安い賃金で過重労働を強いられながら洋服を作っているのに、消費する側はポンと買って、ポンと捨ててしまう。そういうのを見ると、まさに使う側の責任というのを感じますよね。学生の頃はお金がないから、ずっと同じ服を長く着ていたんですけど、今はある程度買える物も増えてきた。でもそのなかで、手当たり次第買うのではなく、何を選ぶのかというのが重要になってくるのかなと思います」

(取材協力:THE PUBLIC SIX、写真提供:SHIMANE SUSANOO MAGIC)

安藤誓哉 プロフィール

1992年7月15日生まれ。東京都出身。小学校1年生でバスケットボールを始め、年代別代表でも活躍。明治大在学中に海外挑戦を決意し、アメリカのマイナーリーグを経て、カナダのプロリーグ(NBLカナダ)に所属するハリファックス・レインメンへの入団を勝ち取った。同リーグで初の日本人選手となっただけでなく、ルーキーながら全試合に出場するなど存在感を放ち、翌年にはアジアの強豪国であるフィリピンのプロリーグ(PBL)所属のメラルコ・ボルツへ移籍。その後国内での移籍を重ね、2018年にはアルバルク東京でBリーグ優勝に大きく貢献した。翌2019年に連覇を果たすと、FIBAワールドカップ日本代表にも選出された。2021年より島根スサノオマジックに所属する。

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