最終処分とは?仕組みや課題を解説
排出者から排出された廃棄物は、収集運搬業者や中間処理業者、最終処分業者などの手に渡り、最終処分されます。最終処分は廃棄物処理の最終工程であり、最終処分される廃棄物を可能な限り減らすことが、地球環境の保全につながるといえます。
今回は、最終処分について、その概要や処分場の種類、処分場が抱える課題などを解説していきます。
最終処分とは?
最終処分は廃棄物処理の最終工程です。排出された廃棄物は、収集運搬され中間処理や再生処理されたあと、最終処分場で最終処分されます。最終処分は、中間処理を行なった後の残さや、再生処理で再生できなかったものを処分する工程だといえます。
最終処分の目的は、廃棄物を安定した状態に維持し、周囲の環境に影響を与えないようにすることにあります。処分場では、処理できなかった廃棄物を生物的・物理的・化学的に安定な状態にすることで、生活への影響を発生させないようにしているのです。
また、廃棄物処理法では、最終処分とは埋立処分、海洋投入処分、再生であると定められています。ただし、海洋投入は埋立処分が困難な場合にのみ行なわれるため、実質的に最終処分は埋立処分のことを指す場合がほとんどです。
廃棄物の最終処分場は、一般家庭などから出た廃棄物を処理する一般廃棄物の最終処分場と、事業活動によって排出された廃棄物を処理する産業廃棄物の最終処分場に分けられます。産業廃棄物の最終処分場は、処理する廃棄物の有害性に応じて、安定型最終処分場、遮断型最終処分場、管理型最終処分場の3つに分類されます。
安定型最終処分場、遮断型最終処分場、管理型最終処分場については、このあとそれぞれ詳しく解説します。
安定型最終処分場
安定型最終処分場は、性状が安定している安定5品目(廃プラスチック類、がれき類、ゴムくず、金属くず、ガラスくず・陶磁器くず)を埋め立てる処分場です。性状が安定している廃棄物を処理するため、安定型最終処分場は、基本的には廃棄物を土に埋めていく構造をとっています。
埋め立ての際は、安定5品目以外の異物混入が無いよう、展開検査を実施するほか、地下水の水質検査も実施されます。
遮断型最終処分場
遮断型最終処分場は、有害物質(重金属類)を一定以上含む産業廃棄物(燃えがら、ばいじん、汚泥等)を埋め立てる処分場です。
この処分場で処分される廃棄物は、廃棄物を溶出試験した後の重金属類の量が一定以上であるものに限られます。処理過程で無害化やセメント固化、キレート処理等有害物質の不溶化処理できれば、遮断型最終処分場ではなく管理型最終処分場で処分されるため、遮断型最終処分場が利用されるケースは少なく、全国にも30施設程度しかありません。
また、遮断型最終処分場は有害物質が漏洩しないよう、水密性鉄筋コンクリートで仕切られ、屋根などで覆われ雨水等の流入を防ぐ構造になっています。処分後は有害物質を外界から常に遮断しなければならないため、遮断型最終処分場の維持管理は半永久的に続きます。
管理型最終処分場
管理型最終処分場は、安定型最終処分場や遮蔽型最終処分場で処分できないもの(燃え殻、ばいじん、汚泥等)を埋め立てる処分場です。
管理型最終処分場で処分される廃棄物は、水分が多く含まれ、ガス等も発生するため、遮水シートで水分が漏洩しないようにする必要があります。そのため、管理型最終処分場には浸出水を収集・洗浄する施設などが必須です。
最終処分と中間処理の違いとは?
中間処理は最終処分の前の工程です。中間処理では、廃棄物を破砕、焼却、脱水、中和、融解することにより減量したり、選別したりします。その過程で、再生できる廃棄物はリサイクルし、再生できないものは最終処分しやすい状態になるよう処理します。
最終処分の対象となるのは、中間処理を経た再利用できない残さ等です。最終処分される廃棄物量を減らすには、中間処理の工程で可能な限り廃棄物を再利用する必要があるといえるでしょう。
最終処分場が抱える課題
最終処分場は再生処理できなかった廃棄物を処分するための場所であり、人々が廃棄物を排出する限り、最終処分場は必要とされ続けます。
環境省が公表しているデータによると、令和2年度に排出された一般廃棄物の9.3%、同年度に排出された産業廃棄物の2.4%が最終処分場で処理されています。一般廃棄物の最終処分場の残余容量は令和2年度末時点で9,984万㎥、残余年数は22.4年とされており、このままのペースで廃棄物を排出し続ければ、いずれ最終処分場が利用できなくなる可能性があります。
最終処分場が不足しているなら増やせば良いのでは、と考える方もいるかもしれません。しかし、土地の確保の難しさや建設・管理にかかる費用の確保、近隣住民からの反発など、最終処分場の新設にも多くの課題が山積しています。
生活に必要不可欠な最終処分場を維持し続けるためには、資源循環を促進し、最終処分量を減らすことが大切です。一人ひとりが排出する廃棄物を減らし、再生できるものはすべて再生処理すれば、最終処分場の残余年数を延ばすことができるでしょう。
まとめ
廃棄物処理の最終工程である「最終処分」では、中間処理や再生処理で処理しきれなかった廃棄物を埋立処分します。最終処分の目的は、廃棄物を安定した状態に維持し、生活環境に影響を与えないようにすることです。
私たちが日々排出する廃棄物を安全な状態で処分するために、最終処分は無くてはならない工程だといえます。
生活に必要不可欠な最終処分場ですが、処分場の容量には限界があります。処分場を使用し続けるには、廃棄物の排出量を減らし、可能な限り再生処理しなければなりません。最終処分場の維持は、社会全体の課題だといえるでしょう。