汚泥の産廃処理と処分費を解説
産業廃棄物の中で最も高い排出割合を占める汚泥ですが、種類や状態に応じて処分方法がさまざまで、処理や判断に迷うことが多いのも事実です。
汚泥はどのように分類され、処分後どうなっていくのか。
この記事では、汚泥の産廃処理を検討しているご担当者様が抱きやすい疑問点について、詳しく解説していきます。ぜひ参考にしてください。
汚泥とは?
汚泥とは、下水処理場や工場の処理過程により発生する廃棄物であり、水中の浮遊物質が沈殿、浮上して泥状になった物質の総称です。
スラッジやヘドロとも呼ばれ、池や沼など水底に溜まっているドロっとしたもののイメージが分かりやすいでしょう。
有機質に混入した泥のみでなく無機性のものも含み、廃棄物処理法で産業廃棄物の一種とされていますが、毒性のあるものは取り扱いに十分注意が必要です。
汚泥の分類
汚泥は有機汚泥と無機汚泥の2種類に分類することができます。
「有機汚泥」は主に下水処理の過程で発生します。代表例は以下の4つです。
- パルプ廃液から発生する汚泥
- ビルピット汚泥(し尿は含まない)
- 活性汚泥法により処理した後に発生する汚泥
- 各種製造業の廃水処理にあたり動植物性原料を用いて発生する汚泥 など
「無機汚泥」は主に建設工事の掘削等の過程で発生します。代表例は以下の4つです。
- 赤泥
- 腐白土
- けい藻土かす
- 炭酸カルシウムかす
- 浄水場の沈殿池により生じる汚泥 など
建設発生土と建設汚泥
「建設発生土」とは 、がれきや廃木材のような産業廃棄物を含まない場合、掘削工事に伴い発生した自然由来の土砂のことを指します。これは産業廃棄物には当たらないので建設発生土としてその他の工事などで盛土として再利用できます。
「建設汚泥」とは、建設工事により発生する泥状のものを指し、特に含水率が高く細かい粒のものに当たります。廃棄物処理法により産業廃棄物に値しますが、人が上を歩けないような泥状の土のイメージです。建設汚泥として産廃処理される基準は、コーン指数が20N/m2未満の場合です。
汚泥の処分方法
汚泥はリサイクルをするための中間処理が施されます。
中間処理とは主に「濃縮」→「脱水」→「乾燥・焼却」の流れです。
濃縮
まず「濃縮」ですが、処理工程で汚泥濃度を高めていくことを指します。濃度1%以下のものを最高4%まで上げていきますが、具体的な方法は重力式と機械式の2つに分けられます。
重力式濃縮とは沈殿池から汚泥を引き抜き、上澄水と濃い汚泥に分け、減量していく方法です。
機械式濃縮とは名前の通り機械で水と汚泥に分けていきますが、遠心濃縮・加圧浮上濃縮・常圧浮上濃縮・ベルト型ろ過濃縮の4種類があります。
脱水
次は濃縮された濃い汚泥を「脱水」する工程です。機械を使って脱水することにより、汚泥を固形と水分に分け、更に減量化していくことができます。これにより産廃処理費用のコスト削減や工期を短くすることが可能になります。
乾燥・焼却
脱水により更に減量化された汚泥は最終段階である「乾燥・焼却」の流れに入っていきます。
脱水後も汚泥は含水率が高いので取り扱いが難しいですが、乾燥させることにより更なる減量化や資源化が可能になります。
これは産業廃棄物排出量や二酸化炭素CO2削減に大きく繋がります。
最後に、乾燥した汚泥は焼却処理されます。その後汚泥は灰になり汚泥に含まれる有機物はすべて無機物になり、埋立処分されます。
汚泥はどのようにリサイクルされる?
汚泥は主に「肥料」「路盤材 」「再生骨材」にリサイクルされます。
「汚泥肥料」は近年の化学肥料の価格高騰に代わり、置き換えが可能なため注目を集めています。「路盤材」とは、汚泥や焼却灰を高温で溶かしたものを冷やし固めたものです。そうすることで、有機物がなく容積を大幅に軽減させることができます。最後に「再生骨材」とは、汚泥を処理した際にできる焼却灰や、焼却灰を溶かし固めた溶解スラグを加工処理してコンクリート用骨材などとして再利用できるものです。
処分を委託する際のポイント
産業廃棄物の処理のほとんどが、専門の処理業者に委託されています。委託された廃棄物が適正に処理されるため、以下のようなルールが定められています。
- 収集・運搬、中間処理ともに許可を持っている処理業者に委託すること。(運搬業者と処理業者が別々の場合それぞれと契約を結ぶことが必要)
- 1回限りの委託でも2者間で書面契約を結ぶこと。
- 日付・種類・性状・分量を正確に共有するためマニフェストを利用し、廃棄物処理が最後まで正しく実施されたかどうか確認すること。
- 汚泥は不法投棄の数も少なくありませんが、その責任は排出事業者も負うことになります。委託する処理業者の許認可や実績、できれば現場を確認し、慎重に選定しましょう。
汚泥の処分費
山一商事では無機汚泥に限り処分が可能です。処分費用は1kgあたり40〜60円程度になります。
荷姿等によっても変動するため、少しでも不明点があれば、弊社営業部までお問い合わせください。
よくある質問
Q.汚泥の処分はできますか?
A.弊社では無機汚泥に限り処分可能です。また発生場所や性状によっては分析表の提出をお願いすることがあります。
まとめ
本記事では、「汚泥」の処理や処分費について解説してきました。多くの排出事業者が汚泥の処分に向き合い、対策していかなければなりません。自己判断が難しい場合も多いので、判断に迷ったら弊社営業部までご相談ください。