法律違反となる不法投棄の事例や罰則と対策について
小さなゴミを道端に捨てること、それも犯罪です。不法投棄は過去に大きな事件があった事から廃棄物処理法が厳しく改定され、以前よりも事件数は大幅に減少しています。ですが不法投棄がなくなったわけではありません。この記事では不法投棄の大きな事件となった豊島事件、不法投棄への罰則、不法投棄に巻き込まれないためのポイントを解説します。
不法投棄とは
不法投棄とは違法に捨てられたゴミの事を指します。一般廃棄物、産業廃棄物ともに処分方法は廃棄物処理法で決められており、違反した場合には違反内容によって法的処置が行われます。もちろんポイ捨ても犯罪の1つです。
不法投棄の事例 豊島事件
豊島事件は香川県小豆島で起きた戦後最大規模ともいわれた不法投棄事件です。未許可の産廃事業を行った上、野焼き、不法投棄等を行い周辺住民からは健康被害の声も多く上がりました。不法投棄の量は総量約92万t、処理費用は約730億円にものぼるといわれています。2000年から公費による原状回復が行われ2017年に最後の搬出が終わったと思われていましたが、2018年に新たに汚泥が発見され現在もまだ作業中です。廃棄物処理法を根底から変えた事件でしょう。
不法投棄への罰則
不法投棄への罰則は内容によっても様々です。以下のリンクに罰則の一覧がわかりやすく表記されていますので参考になさってください。
参考URL:九都県市首脳会議廃棄物問題検討委員会 不法投棄に関する罰則
不法投棄に関する内容は廃棄物処理法の第25条に記されています。
個人が不法投棄を行った場合
個人の不法投棄については廃棄物処理法の第16条、第25条に書かれています。
- 第16条 何人も、みだりに廃棄物を捨ててはならない
- 第25条 第16条の規定に違反して、廃棄物を捨てた者違反した場合は5年以下の懲役若しくは1000万円以下の罰金
燃えるゴミの日に違う種類のゴミを捨ててしまった、というくらいでは特に罰則は定められていません。ですが、明らかに故意に捨てているとわかるようなゴミについては罰則が課されます。
産廃事業者が不法投棄を行った場合
事業者となると、個人と比べると規模や影響も大きいため一般廃棄物よりも更に厳しい処分が下されます。事業者の場合は第25条に書かれている、「5年以下の懲役若しくは1000万円以下の罰金」に併せて最大3億円以下の罰金刑が科されます。
不法投棄は近隣住民や環境に深刻な影響を及ぼす
不法投棄が行われれば、火災や水質汚染、土壌汚染、健康被害などの可能性が出てきます。その汚染は放置される時間が長ければ長いほど原状回復までに多くの時間、お金がかかります。そして原状回復までの長い間、汚染は続くのです。また、厄介なのは不法投棄が発見されたとしても誰がそのゴミを捨てたのかまではわからないことが多いことです。現状、ゴミを捨てた人がわからない場合の処分費用はゴミが捨てられた土地の持ち主が負担しなければいけません。犯人がわかっていたとしても処理能力がない場合、公費、もしくは私有地の所有者が負担せざるを得ません。
不法投棄をなくすための国や自治体の対策
不法投棄をなくすため、国や自治体は多くの対策を行っています。例えば産廃スクラム(産業廃棄物不適正処理防止広域連絡協議会)は1都11県25政令指定都市から作られる産業廃棄物の不法投棄撲滅のために作られた組織です。全国一斉調査や、会議などを行い、不法投棄の撲滅、情報の共有などを行っています。
参考URL:産廃スクラムとは
防犯カメラの設置
不法投棄は人が出歩かない場所、時間帯を狙って行われます。そのため不法投棄をしている現場を見つけることはかなり難しいでしょう。防犯カメラを設置すればカメラの存在だけでも不法投棄の防止につながります。不法投棄した人物が証拠として残っていれば、相手に処分費用を請求すること可能です。市区町村では、不法投棄が多く、人が入りにくい場所に対し防犯カメラの設置、ヘリコプターやドローンでの巡回を強化しています。
参考URL:法投棄等の監視体制(令和2年度)
不法投棄しにくい環境整備
物陰に隠れた人目につかない場所は不法投棄されやすくなります。
木々が生い茂り、人気のない山中は不法投棄が後を絶ちません。
- 不法投棄の注意喚起をする看板を立てる
- 雑草や不要な木を切り見晴らしをよくする
- パトロールを定期的に行う
などの対策が有効です。
不法投棄をみかけた時は
不法投棄をみかけた際は土地の所有者が速やかに通報することが義務付けられています。市区町村ごとに受付窓口や不法投棄110番という問い合わせ窓口が用意されています。必要であれば警察にも通報することも視野に入れてください。不法投棄されている場所、ゴミの種類によって通報先(役所内での管轄)が異なる場合もあります。大量の産業廃棄物の不法投棄を見かけた場合は環境省の不法投棄ホットライン【産廃110番】へメールで連絡することもできます。
不法投棄などの廃棄物処理法違反に巻き込まれないためには
事業として廃棄物を扱っている企業では、自社内だけでは処理できない廃棄物を外部に委託することが多くあります。その外部委託先を慎重に選ばないと、排出先事業者として自身も犯罪に巻き込まれてしまう可能性があります。ちなみに外部委託先は新規で探すよりも他社からの紹介が一番信用も厚く、採用することが多いようです。
外部委託先を選ぶポイント
外部委託先を選ぶポイントを3つご紹介します。
・優良認定されているか
産業廃棄物事業者には優良認定制度という制度があります。
参考URL:優良産廃処理業者認定制度
環境省が定める基準をクリアした業者のみ優良認定を受けることができます。優良認定されているかどうかはさんぱいくんから検索することができます。
・契約書、許可証の確認
産廃事業者であれば産業廃棄物を取り扱うための許可証、収集運搬を行うのであれば排出先の自治体の許可証を持っている必要があります。マニフェストを発行する前に契約を結ぶ必要があるためそこでも確認ができるはずです。契約書、許可証は産業廃棄物を扱う上で必ず必要な書類です。
・委託先業者の視察
実際に委託先の事業所へ視察に行くことも、トラブル防止に繋がります。持っている許可証の範囲で作業が行われているか、工場内に産業廃棄物が保管されていないか、保管ヤードに廃棄物が正しく保管されているか、など直接出向き確認するといいでしょう。また、契約時のみではなく定期的に視察を行うとさらなるトラブルを防ぐことができます。
山一商事は不法投棄がない街づくりプロジェクトを進めています
山一商事では不法投棄撲滅のため、株式会社ピリカ様と共同でドライブレコーダーを使用したポイ捨てごみ調査サービス「タカノメ」の車両版開発に取り組んでいます。
ポイ捨てゴミ可視化で環境スタートアップのピリカ様と提携(第1回環境スタートアップ大臣賞受賞)
また、地域活動として自治会様と協力し、近隣の清掃活動も行っております。
川越市中福南北自治会様との連携を通じ、清掃活動を実施しました。