マニフェストとは?書き方や流れをわかりやすく解説
産業廃棄物を管理するのに、マニフェスト制度があります。この制度には、遵守すべき運用上のルールが多く存在します。そのため、適切に産業廃棄物を処理するには、マニフェストへの正しい理解が必要になります。
ここでは、産業廃棄物のマニフェストの概要、流れ、書き方を把握し、正しく管理できるための内容を解説します。
マニフェストとは?
マニフェストとは、産業廃棄物の収集運搬および処理が適切に遂行されたかを確認し管理するためのものです。マニフェストの記録媒体は、紙と電子に分けられます。
マニフェスト制度導入には、過去に産業廃棄物の不適切な処理や不法投棄が続いたことから、1990年より処理の流れを把握するための任意運用として誕生した背景があります。
1993年には特別管理産業廃棄物を対象に義務化。1998年に全ての産業廃棄物を適用範囲として義務化され、同時に電子マニフェストも導入されました。
マニフェストの流れ
紙マニフェストは、A票、B1票、B2票、C1票、C2票、D票、E票の7枚綴りの複写式伝票を扱います。各工程によって、産業廃棄物の収集運搬や処分が終わると事業者ごとに決められた伝票を受け取り、5年間保管します。電子マニフェストは、電子上で操作することになるため、各工程ごとに事業者へ通知が届く仕組みになっています。
マニフェストを扱う順番は、排出事業者→収集運搬業者→中間処理業者→収集運搬業者→最終処理業者の順になります。最初に排出事業者から発行するマニフェストを一次マニフェスト、次に中間処理業者から発行するマニフェストを二次マニフェストと呼びます。紙マニフェストに関しては、最終処分業者までの委託になれば7枚綴りの伝票が2部必要になります。とはいえ一次も二次も、マニフェストの形式は同じです。
①排出〜収集運搬業者への引き渡しまで
排出事業者は7枚綴りの一次マニフェストに必要事項を記載し交付します。収集運搬業者は、運搬担当者の署名・押印の後、A票を排出事業者に返却します。排出事業者は、交付からA票を5年間保管します。
②収集運搬が完了したら
中間処理業者は、中間処理担当者の名前を記載し、B1・B2票を収集運搬業者へ渡します。収集運搬業者は、中間処理業者からB1・B2票を受領。そのままB1票は収集運搬業者側で5年間保管、B2票を排出事業者へ返却します。排出事業者はB2票を受け取った日から5年間保管します。
③中間処理が完了したら
中間処理業者は、処理が終了した日を記載してC1票をそのまま5年間保管します。そして、C2票を収集運搬業者へ、D票を排出事業者へ返却。収集運搬業者は、C2票を受け取った日から5年間保管します。排出事業者においてもD票を5年間保管。ただし、一次マニフェストを交付してから90日以内にD票が未受領だった場合、排出事業者は30日以内に都道府県へ報告しなければなりません。
④最終処分が完了したら
中間処理業者は、新たに7枚綴りの二次マニフェストを交付し、収集運搬業者と最終処分業者に委託します。二次マニフェストの流れは、基本的に一次マニフェストと同じです。最終処分業者は、最終処分が完了したら二次マニフェストのE票を中間処理業者へ返却します。その後、中間処理業者は一次マニフェストのE票に最終処分先、最終処分終了の年月日を転記し、排出事業者へ返却します。排出事業者はE票を受け取った日から5年間保管します。ただし、一次マニフェストを交付してから180日以内にE票が送られてこない場合、排出事業者は処理状況を確認して30日以内に都道府県に報告しなければなりません。
マニフェストの書き方
マニフェストの書き方は、法定記載事項に沿って以下の内容を記載します。紙マニフェストに限らず、電子マニフェストも入力画面から同じ項目を記録することができます。
画像出典: 公益社団法人 全国産業資源循環連合会
マニフェストの記載項目
記載する項目 | 記載する内容 |
---|---|
1. 交付年月日 | マニフェスト交付年月日を記入 |
2. 交付担当者 | 交付した担当者名を記入 |
3. 排出事業者 | 排出事業者の氏名又は名称、住所、電話番号を記入 |
4. 排出事業場 | 排出場の名称、所在地、電話番号を記入 |
5. 産業廃棄物 | 産業廃棄物の種類にチェック |
6. 数量 | 産業廃棄物の重量・体積(kg、㎥などの単位)を記入 |
7. 荷姿 | バラ、フレコンバッグ入り、ドラム缶、ポリ容器などの荷姿を記入 |
8. 産業廃棄物の名称 | 廃棄物の概要(廃タイヤ、廃冷蔵庫、農業ビニルなど)を記入 |
9. 有害物質等 | 有害物質が含まれている際はその名称を記入 |
10. 処分方法 | 焼却、破砕、切断、安定型埋立など、処分方法を記入 |
11. 中間処理産業廃棄物 | 中間処理業者が残さ物を処理委託する際に記入(二次マニフェストの際に中間処理業者が記入するため、一次マニフェストでは不要) |
12. 最終処分の場所 | 委託契約書記載の通りにチェックするか、中間処理後に発生する残さを最終処分する予定場所について記入 |
13. 運搬受託者 | 収集運搬業者について記入 |
14. 運搬先の事業場 | 運搬先の事業場について記入 |
15. 処分受託者 | 処分を受託した業者について記入 |
16. 積替え又は保管 | 積替保管をおこなう際、住所等について記入が必要 |
※より詳しくはこちらも参照ください:マニフェストの記載要領
上記は、代表的な事業系マニフェストの書き方です。このほかに、建設系廃棄物は産業廃棄物によって処理方法が複数に分かれることもあり、収集運搬業者を2社記載できる欄があります。また、積替保管用廃棄物のマニフェストは積替え保管用の運搬受託者と運搬先の事業場を記載する欄があります。
マニフェストの返送期限や保管期限に注意
マニフェストには返却期限と保管期間があります。期日にマニフェストが返却されない場合、収集運搬業者や処分業者に事実確認をしなければなりません。もし、事実確認によって対応が必要な場合、都道府県に報告書を提出することになります。
これらの期間や流れは廃棄物処理法で定められた義務であるため、「マニフェストに虚偽の内容を記載した」「マニフェストを保管していなかった」「マニフェストを交付せず廃棄物を委託した」などで違反した場合、排出事業者(中間処理業者も含む)が1年以下の懲役又は100万円以下の罰金に科せられます。
そのため、マニフェストの管理に関するルールを理解する必要があります。特に紙マニフェストは7枚の伝票に分かれるため、各事業者でどの伝票を管理すべきか整理しておきましょう。
保管期限
各事業者が管理すべきマニフェスト伝票は、下表のようになります。
業者 | 保管期限 |
---|---|
排出事業者 | ・一次マニフェスト:A、B2、D、E票を5年保管 |
収集運搬業者 | ・一次マニフェスト:B1、C2票を5年保管
・二次マニフェスト:B1、C2票を5年保管 |
中間処理業者 | ・一次マニフェスト:C1票を5年保管
・二次マニフェスト:A、B2、D、E票を5年保管 |
最終処分業者 | ・二次マニフェスト:C1票を5年保管 |
返送期限
排出事業者がマニフェストを受領すべき返却期限と、期限を超過した場合の都道府県知事への報告期限は下表のようになります。
業者 | 排出事業者への返却期限 | 届かない場合の報告期限 |
---|---|---|
収集運搬業者 | ・B2票:90日以内 | 30日以内 |
中間処理業者 | ・D票 :90日以内 | |
最終処分業者 | ・E票 :180日以内 |
電子マニフェストと紙マニフェストの違い
電子マニフェストは、紙マニフェストに記載する情報を電子化したものです。排出事業者、収集運搬業者、中間処分業者、最終処分業者がインターネット上でやり取りします。電子マニフェストと紙マニフェストの違いによって、下表のようなメリットやデメリットが存在します。近年電子マニフェストの普及が進んできましたが、どちらの管理を採用するかは自由です。
メリット / デメリット | 電子マニフェスト | 紙マニフェスト |
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メリット |
|
|
デメリット |
|
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まとめ
マニフェスト制度は、産業廃棄物を管理するためのものであり、排出事業者、収集運搬業者、中間処理業者、最終処分業者の各事業者が連携し管理するものです。また、マニフェストには、返却期限や保管期限が設けられており、これらの義務を守る必要がありました。運用上のルールを把握し、産業廃棄物に関わる普段の業務を適切に遂行していきましょう。
山一商事では産業廃棄物の収集運搬、中間処理、最終処分を承っておりますので、お困りのことがあれば、弊社営業部までお気軽にお問い合わせください。