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公開日: 2023/01/27 |最終更新日: 2023/02/04

SDGs12「つくる責任 つかう責任」とは?企業や個人でできることも解説

SDGsなか廃棄物量の削減、リサイクル、再利用に言及しているのが、目標12の「つくる任 つかう任」です。大量生産、大量消費、大量廃棄を続けていけば、地球がいくつあっても資源が不足してしまいます。

そんな将来の危機を防ぎ持続的でより良い世界を目指すため、SDGsの目標12では生産や消費、廃棄についての詳細なターゲットが定められています。

ここではこの「つくる責任 つかう責任」の概要や現状、そして私たちが取り組むべき課題についてご紹介します。

 

SDGs12「つくる責任 つかう責任」とは?

生産性が上がった現代社会はモノに溢れており、持続可能な生産や消費に切り替えなければ限りある資源が枯渇してしまう可能性があります。

このような状況を受けSDGs12「つくる責任 つかう責任」では、すべての人の食品廃棄を半分にすること、3R (リデュース・リユース・リサイクル) で廃棄物の発生を大幅に減らすこと、化学物質や廃棄物の自然への悪影響を縮小することなどが掲げられています。

日常的に消費活動を行う私たちにとって、とても身近なテーマであると言えるでしょう。

 

SDGs12のターゲット

SDGs12には12個のターゲットが定められています。これらのターゲットをクリアしていくことで、最終的な目標を達成することができます。

項番 ターゲットの内容
12. 1 持続的な消費と生産に関する10年枠組みプログラム(10YFP)を実施し、先進国主導の下、開発途上国の開発状況や能力を勘案し、すべての国々が対策を講じる。
12. 2 2030年までに天然資源の持続可能な管理および効率的な利用を達成する。
12. 3 2030年までに小売・消費レベルにおける世界全体の一人当たりの食品廃棄物を半減させ、収穫後損失などの生産・サプライチェーンにおける食品の損失を減少させる。
12. 4 2020年までに、合意された国際的な枠組みに従い、製品ライフサイクルを通じて化学物質やすべての廃棄物の環境に配慮した管理を達成し、大気、水、土壌への排出を大幅に削減することにより、ヒトの健康や環境への悪影響を最小限に留める。
12. 5

2030年までに、予防、削減、リサイクル、および再利用(リユース)により廃棄物の排出量を大幅に削減する。

12. 6 大企業や多国籍企業をはじめとする企業に対し、持続可能な慣行を導入し、定期報告に持続可能性に関する情報を盛り込むよう奨励する。
12. 7 国内の政策や優先事項に従って持続可能な公共調達の慣行を促進する。
12. 8 2030年までに、あらゆる場所の人々が持続可能な開発および自然と調和したライフスタイルに関する情報と意識を持つようにする。
12. a 開発途上国に対し、より持続可能な生産消費形態を促進する科学的・技術的能力の強化を支援する。
12. b 持続可能な開発が雇用創出、地元の文化・産品の販促につながる持続可能な観光業にもたらす影響のモニタリングツールを開発・導入する。
12. c 破壊的な消費を奨励する非効率的な化石燃料の補助金を合理化する。これは、課税の再編や該当する場合はこうした有害な補助金の段階的廃止による環境影響の明確化などを通じ、各国の状況に応じて市場の歪みを是正することにより行うことができる。また、その際は開発途上国の特別なニーズや状況を考慮し、開発への悪影響を最小限に留め、貧困層や対象コミュニティを保護するようにする。

 

世界でのSDGs12の状況

SDGs12といえば「食品ロス」というキーワードがよく取り上げられます。その背景には、世界の食用農水産物の約3分の1が消費されることなく捨てられている、という現状があります。

食品ロスを含む世界の廃棄物量は今後も大幅な増加が予測されており、世界全体でみると年間の廃棄物量は2012年から2025年で約10億トンも増えると見込まれています。主な原因は人口増加や経済発展で、開発途上国を中心とした低〜中所得の国々でゴミ量が増えると予想されています。

しかし現時点で最もゴミを排出しているのは先進国であり、SDGsの理念にもある通り全世界の国や地域が一丸となって取り組むべき課題です。

そんな中でドイツや韓国、オーストリアなど、リサイクル率が50%を超えている国もあり、SDGs12のターゲットでも言及されている3R活動などは世界で拡大しています。

 

課題① 食品ロス

SDGs12 食品ロスの課題

日本では、毎日一人あたりお茶碗1杯分の食品ロスが出ているといわれています。本来食べられるはずの食品を捨ててしまうことがもったいないのはもちろん、廃棄された食料を焼却することでCO2が排出され、地球温暖化の加速にも繋がります。

現在、食品廃棄物等の約60%が飼料やエネルギーとしてリサイクルされています。残りの約40%は埋め立てや焼却処理となりますが、これによる経済的負担や環境汚染が課題となっており、やはり食品ロス自体を減らす必要があるのです。

食品ロスを減らすためには、家庭はもちろん外食産業や学校給食といった様々な角度からのアプローチが効果的です。東京都内の学校では、メニューの工夫や生きた教材としての給食を取り入れて残菜率が減った例や、実際に牛と触れ合う機会を設けることで牛乳の飲み残しがほとんど無くなった例などもあり、全国で取り組みが増えています。

 

課題 ② 廃棄物処理やリサイクルの問題

1970年に「廃棄物処理法」が制定されて以降、日本では「環境基本法」や「循環型社会形成推進基本法」といった廃棄物に関する法整備が進んでいます。しかし一般廃棄物の排出量は、高度経済成長期やバブル期以降の大量消費の中で急増し、2000年のピーク時には一人当たり1.2kg/日に達しました。

一方、2000年以降は環境問題への関心の高まりや景気変動などの影響により減少傾向で、2012年には978gと約20%の減少が見られます。しかし、残念ながら日本のリサイクル率は20%程度に留まっており、他の先進国に比べて低い状況が続いています。

 

リサイクルの現状

PETボトルリサイクル推進協議会によると、2021年度のPETボトルリサイクル率は86.0%でした。2012年度以降のリサイクル率は目標とする85%前後という数値が続いていますが、中国の廃棄物輸入禁止により使用済みPETボトルの輸出量が減り、その中身は国内循環にシフトしています。

また、パソコンや小型二次電池は、「資源有効利用促進法」により各事業者に自主回収及び再資源化が義務付けられています。2020年度の実績をみると再資源化率は全ての項目で法定目標を達成していますが、年次の古いパソコンなどは中古再生部品としての再利用が難しく、再資源化が叶わない場合もあります。

 

産業廃棄物処理の現状

1990年度以降の産業廃棄物の排出量は、年間約4億トンと横ばいの状況が続いています。産業廃棄物は、減量化や再生利用分を抜き取った残りが最終処分場で埋め立てられます。

産業廃棄物の主な問題の一つが、この最終処分場の不足です。最終処分場の残余容量と年間の廃棄物排出量で算出される残余年数は、2019年度時点で21.4年分と残りわずかです。国土の狭い日本では処理場を新設することも難しく、ゴミの排出量自体を減らすことや、減量化や再生利用といった中間処理分をさらに増やすことが求められます。

 

不法投棄の現状

産業廃棄物のもう一つの問題が不法投棄です。環境省は毎年度、産業廃棄物の不法投棄件数や量を調査し取りまとめています。不法投棄件数はピーク時の平成10年代前半と比較して減少していますが、令和2年度の新たな発覚件数は139件、年度末の残存事案は2,782件とまだまだ撲滅には至っていません。

新規事案の実行者のうち最も件数が多かったのは排出事業者、量が最も多かったのは無許可業者でした。違法行為を行う業者も存在するため、廃棄物処理を依頼する場合には注意が必要です。

政府は廃棄物の除去等のために都道府県や地域を支援していますが、不法投棄は重大な環境汚染や災害につながる場合があり、その行為自体を防ぐ必要があります。

 

企業における取り組み

ここまで見てきた通り、食品ロスを含む廃棄物を減らすことや廃棄物の適正処理が「つくる責任 つかう責任」のゴール達成には不可欠です。そのためには国や自治体だけではなく、企業の取り組みも大きな力となります。

 

「10×20×30食品廃棄物削減イニシアティブ」

2019年9月に発足した10×20×30食品廃棄物削減イニシアティブ」は、世界の大手小売企業11社とサプライヤー21社が協力し、2030年までに食品廃棄物の半減を目指す指針です。例えばイオン株式会社は、下記のような取り組みを行っています。

  • 一部商品の賞味期限表示を「年月日」から「年月」に切り替え
  • 惣菜の油や魚のアラを回収して飼料や油脂にリサイクル

 

日本コカ・コーラ株式会社

日本コカ・コーラ株式会社は「World Without Waste(廃棄物ゼロ社会)」を目指し、100%リサイクルペットボトルやラベルレスボトルの開発や導入を進めています。石油から新規に作られるプラスチックの使用を削減し、2030年までに全てのPETボトルをリサイクル素材や植物由来素材に切り替えることを目標としています。

また自動販売機の横には容器回収ボックスを設置し、使用済みPETボトルを再びPETボトルとしてリサイクルする「ボトルtoボトル」の取り組みを続けています。

 

個人でできる取り組み

SDGs12 個人でできる取り組み

消費や廃棄など私たちの日常に密接したテーマを扱う「つくる責任 つかう責任」の課題には、個人でできる取り組みも多くあります。ここで紹介するのはほんの一部のアイデアですが、今日からはじめられる簡単なものも多いのでぜひ取り組んでみてください。

 

食品ロス対策

調理くずや期限切れによる廃棄など、家庭から出る食品ロスは年間約300万トンあります。

  • 賞味期限と消費期限の違いを理解する
  • 家にある食品ストックや食べられる量を把握し、買いすぎない
  • 外食時には食べられる量だけを注文する
  • 野菜の皮や葉っぱなど、可食部を増やす
  • スーパーでは賞味期限が近いものから選び、売れ残りを防ぐ

 

再利用・リサイクル

再利用やリサイクルでゴミは資源に変え、捨てるという選択肢を最終手段にしましょう。

  • ゴミは地域のルールに沿って細かく分別する
  • 瓶などの空いた容器は、食品保存や量り売りで再利用する
  • 新品でなくて良いものは、中古品やおさがりを検討する
  • 物を手放す場合には、リサイクルストアや中古販売サービスを利用する

 

エシカル消費

透明性やサステナビリティなど「つくる責任」を果たしている生産者を選び、購入した製品は責任を持って最後まで使い切りましょう。

  • 製品の生産過程や企業理念をしっかりと確認した上で購入する
  • マイボトル、マイバッグ、持参の容器などが使用できる店を選ぶ
  • 使用後の回収やリサイクルを実施しているブランドを選ぶ
  • 通販は簡易梱包やグリーンな物流に対応している店を利用する
  • 本当に必要なものだけを購入し、今あるものが使えないか考える

 

まとめ

今回はSDGsの12番目のゴール「つくる任 つかう任」をもとに、世界や日本の現状と課題をまとめました。

大量消費社会による資源の枯渇や、食品ロスを含む廃棄物の増加はとても身近で重大な問題です。現状のままでは、廃棄物を埋め立てる最終処分場は、あと20年程で足りなくなってしまいます。

責任ある方法で生産されたものを最後まで責任を持って消費すること、捨てる前にリサイクルや再利用などを検討すること、そして最後に廃棄する際には適切な処理をすることが求められます。

山一商事 広報部

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埼玉県川越市を中心に産業廃棄物の運搬・処理を行う「株式会社山一商事」の広報部です。お客様にとってお役に立てるような情報や私たちからのお知らせをご案内させていただきます。

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