当たり前という文化が生まれれば、面倒くさいとは思わなくなるはず
「SDGs」というワードから、真っ先に何を思い浮かべますか?
「やっぱりリサイクルですかね。ゴミを出さなかったり、まだ使えるものを捨てずに再利用したり。環境破壊につながるようなことをなるべくしないように、持続的に活動していこうということだと思います。正直、SDGsに対してはそれくらいの知識しかありませんが、最近では服とかもサステナブルな素材の物がどんどん増えてきていますし、日常的に意識させられるようになってきていると思います」
普段からされている「リサイクル」は、どんなことがありますか?
「ゴミの分別は当たり前ですけど、しっかりとやっています。あと僕はコーヒーが好きなんですけど、マイタンブラーを持ち歩くようにしています。お店で提供されるカップではなく、タンブラーに入れてもらうことでプラスチックゴミを出さないように意識していますね。タンブラーはアルバルクでもメーカーとコラボしてグッズ販売されているんですけど、それによって試合会場のペットボトル廃棄量は着実に減っていると聞きました」
カフェにタンブラーを持参する人は増えていますよね。
「ハワイとかでは当たり前みたいですね。店のカップで飲んでいる人はほとんどいないそうなんです。持ち歩くのだったり、洗ったりするのは面倒くさいと言えば、面倒くさいじゃないですか。カップに入れてもらって、飲み終わったら捨てられるほうが楽ですからね。でも、日本でもそういう文化が当たり前になればいいなとは、個人的に思っています。当たり前になれば、面倒くさいとは思わなくなるはずですから」
服やシューズなど、サステナブル素材のものが増えていますが、そういった製品にも興味はありますか?
「ありますよ。最近はサステナブル素材の製品を使用するようにしています」
「意外と選手って、古いボールのほうが好きなんですよね」
2021-22シーズンのアルバルクのユニホームも、サステナブル素材が採用されていたそうですね。
「そうなんです。未使用のプラスチックを含まないリサイクルポリエステルから作られているユニホームで、その取り組みは来シーズンも変わりません」
着心地はいかがでしたか?
「違和感はなかったですね。これまでのものとはちょっと素材が違うなとは思いましたけど、吸水性も伸縮性もあって、動きやすかったですよ」
バスケットをプレーする上で、消耗品となるものはなんですか?
「ボール、シューズ、ユニホームくらいですかね。あとはテーピングをする選手が多いので、それも消耗品になると思います」
劣化して使えなくなったボールはどうなるかご存知ですか?
「トップチームで使っていたものは、アカデミーに引き継いでいます。あとは、サインを書いてプレゼントすることもありますね。ただ、トップチームの練習で使っているものも、結構古いボールが多いんですよね。僕がアルバルクに入って7、8年くらい経ちますけど、新品のボールを練習で使うことはほとんどないんです。意外と選手って、古いボールのほうが好きなんですよね。新しすぎると手になじまなくて、使いづらいんですよ。ちょっと使い込んだもののほうがやりやすいので、ひとつのボールを長く使っています。その意味でバスケ界は、SDGsを無意識に取り組んでいるのかもしれません(笑)」
使わなくなったボールをキーホルダーに再加工して、販売しているとも聞きました。
「チームではそういうこともやっています。簡単に捨てるのではなく、新しい物に作り直して、再利用していくことは今の時代ではとても大事なことだと思います」
田中大貴 プロフィール
1991年9月3日生まれ。長崎県出身。193cm・92㎏。アルバルク東京所属。長崎西高時代から注目を集め、東海大では全日本大学選手権で2連覇を成し遂げ、MVPとMIPを受賞した。大学卒業後はトヨタ自動車アルバルク東京に入団。そのシーズンにはリーグ新人王に輝き、2016年のBリーグ発足後もチームの中心選手として活躍。2017-18シーズンはチームに初優勝をもたらし、自身はチャンピオンシップMVPを獲得した。2016-20シーズンまで4年連続ベスト5、2019-20シーズンはレギュラーシーズンMVPに選出された。アシスト、シュート、ディフェンスに長けたオールラウンダーは日本代表としても活躍し、2019年のワールドカップ、2021年の東京五輪にも出場した。
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