処理困難通知とは?受け取ったらどうする?
事業者から排出された廃棄物は、産業廃棄物の処理業者等によって処分されるのが一般的です。しかし、何らかの理由で産業廃棄物処理業者が廃棄物の処分を行なえなくなる場合があります。廃棄物の処理が行えなくなった場合、産業廃棄物処理業者等は処理の委託者に対し「処理困難通知」を送らなければなりません。処理困難通知を受けた排出者側も、処理の状況を確認したうえで、処分できなかった廃棄物に対して適切に対処する必要があります。処理困難通知が来た際に慌てずに済むように、処理困難通知の内容と、通知が送られてきた際の対処法を知っておきましょう。この記事では、処理困難通知の概要と、通知を受け取った際に排出業者がすべきことについて解説します。
処理困難通知とは?
処理困難通知とは、産業廃棄物処理業者・特別管理産業廃棄物処理業者が、受託した産業廃棄物の処理が行えなくなった場合に、処理の委託者に対して行う通知です。平成22年の法改正によって定められたこの通知制度は、排出事業者の責任の徹底と、適正処理を目的にしています。
廃棄物の処理及び清掃に関する法律(以下、法)
第十四条
13 産業廃棄物収集運搬業者及び産業廃棄物処分業者は、現に委託を受けている産業廃棄物の収集、運搬又は処分を適正に行うことが困難となり、又は困難となるおそれがある事由として環境省令で定める事由が生じたときは、環境省令で定めるところにより、遅滞なく、その旨を当該委託をした者に書面により通知しなければならない。
14 産業廃棄物収集運搬業者及び産業廃棄物処分業者は、前項の規定による通知をしたときは、当該通知の写しを当該通知の日から環境省令で定める期間保存しなければならない。
引用:産業廃棄物の処理及び清掃に関する法律<
処理困難通知が必要になる場合
処理困難通知が必要になる場合について、具体的に見ていきましょう。
産業廃棄物の法規則第10条の六の二によると、通知が必要になる場合は、①事故(保管上限超過)、②事業の廃止、③施設の休廃止、④埋立完了、⑤欠格要件該当、⑥行政処分(改善命令は保管上限超過)に大きく分けられます。
1. 事故(保管上限超過)
産業廃棄物処理施設において破損その他の事故が発生し、当該施設を使用することができないことにより、当該施設において保管する産業廃棄物の数量が保管上限に達した場合。
2. 事業の廃止
産業廃棄物処理業等の全部または一部を廃止したことにより、委託を受けている産業廃棄物の処理できなくなった場合。
3. 施設の休廃止
産業廃棄物処理施設を廃止し、または休止したことにより、委託を受けている産業廃棄物の処分を行えなくなった場合。
4. 埋立完了
産業廃棄物処理施設である産業廃棄物の最終処分場の埋立処分が終了したことにより、委託を受けている産業廃棄物の埋立処分を行うことができなくなった場合。
5. 欠格要件該当
産業廃棄物処理業者等が欠格要件に該当する場合。
6. 行政処分(改善命令は保管上限超過)
- 法第14条の3に基づく事業停止命令を受けた場合。
- 法第15条の3第1項の規定に基づく施設設置許可の取消しを受けた場合。
- 法第15条の2の7の規定に基づく改善命令等を受け、当該施設を使用することができないことにより、産業廃棄物の数量が保管上限に達した場合。
以上の要因によって産業廃棄物の収集、処理等が困難になった場合、適正な処理が困難となった廃棄物の委託者に対して通知しなければなりません。通知は、処理が困難となる事由が生じた日から10日以内に行ないます。通知には、当該事由が生じた年月日や、当該事由の内容を記載します。また、通知の写しを通知した日から5年間保存することが必要です。通知を行なわなかったり、写しを保存してなかったりした場合は、6ヵ月以下の懲役または50万円以下の罰金が科せられる可能性があります。処理が困難となった場合は速やかに通知し、処理できなかった廃棄物を適正に処理する必要がありますし、弊社でも対策を行っています。
通知を受け取ったら、排出業者がすべきこと
廃棄物処理場から処理困難通知を受け取った場合、どのように対処すれば良いのでしょうか。ここからは、処理困難通知を受け取ったあとの手続きを解説していきます。処理困難通知を受け取ったら、①当該業者への新規委託の停止、②処理状況の確認、③別委託先の選定と委託、④都道府県知事へ報告書を提出、の4つを行ないます。一つずつ見ていきましょう。
1. 当該業者への新規委託の停止
処理困難通知を受け取ったら、すぐに当該業者への委託を停止しましょう。委託を停止しなければ、処理ができない廃棄物を増やすことになります。
2. 処理状況の確認
当該事業者へ委託している廃棄物のうち、どの程度が処理されずに残っているか確認します。発行したマニフェストの最終処分処理報告(E表)が手元にあれば処分は完了しているため問題ありません。未返送のマニフェストについて、処分状況を確認しましょう。必要に応じて現場を訪問して確認することも大切です。
3. 別委託先の選定と委託
処分できなかった廃棄物は、別の業者へ委託して処理することになります。処分業者の選定を自社で行なって委託契約するか、再委託基準に則って処分業者に依頼して再委託(法第14条16項)しましょう。ただし、再委託する場合は、法施行令第6条第12項に定める条件を満たしている必要があります。再委託を検討する際は、条件を満たしているか必ず確認しましょう。
4. 都道府県知事へ報告書を提出
処理困難通知を受け取った事業者は、処理困難通知を受け取ってから30日以内に都道府県知事に報告しなければなりません。廃棄物の確認や再委託等を行ないつつ、報告の準備をしておきましょう。
山一商事の安全への取り組み
弊社では特に火災の発生防止に取り組んでおり、防火管理者の設置、定期的な消防訓練、工場内の火災対策などを行っています。また、処理設備を破損してしまうリスクのある廃棄物については、丁寧に分別を行うなど、慎重に受け入れています。その他、搬入前に営業部にて荷姿を指定させていただいたり、前処理を徹底することで、事故を未然に防いでいます。